奸吏によって罠に嵌められた王。
奸吏によって構成された革命軍。
王城は心亡き者らに取り囲まれ、落城寸前である。
兵士たちの闘う声が血腥い風にのって聞こえてくる。
王城の奥。かわいそうな王の娘の部屋。かわいそうなお姫様の部屋。

部屋には2人。部屋の主と、騎士。

「おねがいです。どうか、考え直してください。」
「そうはいかないわ。もう皆で決めたことよ。」
「ですがっ、ですが!!」

「お前には、本当に迷惑を掛けたわね。・・・いえ、これからも掛けてしまうのね。」
「どうして・・・どうして私を連れて行ってはくれぬのですか!私は貴女の騎士です!貴女しかいないのですっ!!」
「これが私の仕事だからよ。王族の仕事。これをあいつらに渡してはならないから。それに、その後の対処をお前にしてもらわなければ意味がないもの。だから連れては行けない。さあ、そんな顔をしないで。私の目を見て。」
「っ!!嫌だ!!嫌だ、いやだ、いやだぁああぁっ!!!!」

涙をこぼし、取り乱したように叫ぶ騎士。腰から剣を抜いた。姫を守る為の剣を抜いた。

「私だって!!・・・私だって嫌よ。結果として逃げるのと一緒だもの。戦いもせずにね・・・。でもね、あいつらに渡すくらいならお前を置いてでも逃げた方が断然良いの。あんな奴等なんかに渡しなるものですかっ!他の皆も同じ意見よ。父様も、母様も、姉様も、兄様達も。だから・・・だから最後の命令としてお願いするわ。私を―」
「そんな・・・そんな嫌です。お願いです。考え直してください。・・・い、いやです、いやだいやだいやだいやだいやだ」

先程とは一変、か弱い声で騎士は言う。剣が鋭く光る。瞳が鈍く光る。

「ならぬ!!お前はわたくしの騎士だ。主の命に逆らうというのか!」
「どうして、どうしてっ!!!、、ぅぁあ、、、、、ぁぁぁあああああぁあぁあぁぁぁあああっ、、、」
「っ。」

剣が振り下ろされた。姫を守る為の剣が振り下ろされた。
守るべき姫に振り下ろされた。

数時間後、革命軍勝利により落城。
革命軍兵士が部屋へ突入すると、血溜まりの中に横たわる首のない死体が1つ。
煌びやかなドレスを身にまとった、この国のかわいそうなお姫様の死体が1つ。
以後、どれだけ探しても、お姫様の従順な騎士とお姫様の首は見つかっていない。

私しか分からない不親切な設定だけど、どっかに書いとかなきゃ忘れると思って、一応アップしました。
あぁ、本当に中二設定ばっかだなぁ・・・