俺が夕食を作り、母ちゃん&姉ちゃんが洗濯物(タオルとか簡単なもの)をたたんでいる、そんな夕方。
父ちゃんが、いつもよりチョイと早めにご帰宅なさった。


なんか、ちまいのを腕に抱いて。


捨てられた犬猫を見ては連れて帰ってくるお人よしな父ちゃん。あぁ、そーだよ。サクラさんもピッピもナデ子も、全員父ちゃんが拾ってきた家族ですよ。3匹以外にもいたんだけど、何とか引き取り手を見つけてね。…頑張ったよ、あの時の俺たち。
…ねえ、父ちゃん?その子も、そこら辺で遊んでいた子を連れて帰って来たのではあるまいな!?

母ちゃん・姉ちゃん・俺、3人の『ちょっと、あんた一体何をしでかしてんの!?』的な視線を苦笑いで受け止めている父ちゃんは、子どもを抱いたままソファに座った。俺らも反対側のソファに座る、と同時に母ちゃんと姉ちゃんが俺に目配せしました。俺が頑張るのね。うん、分かってた。そうなることは…。

じゃあ、まずは、子どもの方からね。
う〜ん…3、4歳位の男の子?さっきから一言も言葉を発してない。緊張してるからかね?
…ガン見はされてるけどもさ。ガン見されてるってことは、俺に興味アリってことかぃ?ならば自己紹介をしましょうね。

「こんばんは。泉 朔夜 (いずみ さくや) デス。そのおじちゃんの息子なんだ。君は?」
「…」
「…。」
「…」
「…?」

や〜?自己紹介してくれないけども。でもガン見は相変わらずだから、別に嫌われちゃないよね!ね!
こういうのは最初が肝心だと思ってるから、目を逸らすまじ!と見つめる。見続ける。………もう、にらめっこな感じがする。時間にしたらそう長くはないと思う。せいぜい1、2分。
俺が勝ちました!…じゃなかった。自己紹介してくれました!!

……はじめ。

小さい声だったけど、ちゃんと聞こえた!
「…はじめ君。そうか、はじめ君か、よろしくねぇ!じゃあ、今度はコッチのお姉さんたちとお話してくれる?あ、ワンワンとニャンニャンも居るんだよ〜。」
と言って、2人にバトンタッチ。きっかけは作ったんだから、ここからは自分たちで頑張りなね。それにしても、この歳で『ワンワン、ニャンニャン』って何か恥ずかしー!でも、はじめ君に伝えるには、この方が良いと思ったからねぇ。ウ〜〜〜ム。
そうこうしている間に、母ちゃん、姉ちゃん、はじめ君、サクラさん、ピッピ、ナデ子は交流を始めた。

ならば、こっちはこっちで父ちゃんと真剣な話し合いをばしましょうかね。