深夜2時をいくらか過ぎた頃。ヤツはいきなり現れた。
成仏できないその理由
窓の鍵は閉めた。玄関の鍵もしっかりと閉めた。尚且つ、チェーンも掛けて寝たはずだ。
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なのに、なぜ、こいつはここに居る!?
「『壁を通り抜けてコンバンハ〜。』だから。」
「・・・・。ハッ!!」
「あぁん♥ 鼻で笑われた♥ ホントの事なのにぃん♥」
「うざい!口調うざい!!何より、ハートが一番うっざい!!!
なんなんだ、てめぇ!人の貴重な睡眠時間を邪魔してその態度か!住居侵入罪で逮捕すんぞ!!」
「むん!信じてねぇ。じゃー、証拠だ!おれっちに触ってみ―――」
ブンッ
この無礼極まりないヤツの言葉を最後まで聞き終わらないうちに、殴った。・・・いや、殴ろうとした。
だが、拳はヤツの頭を殴れず空を切っただけ。・・・目測は誤ってはいない。ヤツも避けてはいない。
ならばと今度は裏拳を。・・・・・また空振りだ。なぜだ???
「まさ君、かっげきぃ!でも、やめてん♥ ・・・もうヤメテ!!触れないって分かってても、めっちゃ恐い!!!
ぎゃっ、ごめんなさいーーーーーーーー。からかったりしないからーー、ゆるしてぇ!!!」
ニヤニヤとした顔を見てかなり腹が立った。
今度は蹴り倒してやろうかと構ると、顔面蒼白になって謝ってきた。最初からそうしろ。
「やくじゃ顔負けですねぇ。ちびっちゃドゴッ はい、申し訳ありません。」
なのに早速からかってくるから、ヤツに入れてやった茶をテーブルにたたきつけて黙らした。ヤツは、馬鹿だ。
でも、まぁ。いつまでもダンマリって訳にもいかねえし。ヤツが俺んちに来るなんてよっぽどの事があったんだろう。
そう思って話を促した。・・・・・・・・・・話を聞いて、やっぱりヤツは馬鹿だと思った。