第一章 - 7


真っ先に反応したのは以外や以外、寝ることと戦うことにしか興味がなさそうなレパドであった。
「??人間界じゃ、魔力を使えるやつは珍しーんじゃなかったっけか???」
顔全体に疑問符を散りばめてでの発言だったが・・・。

「その通りじゃの。一国に4、5人居ればたいしたものじゃ。ネペンティア前々王の時分はなんと1人。んでもって、前王の時分は3人じゃ。ほれ、さっき出た大魔道師はこの1人じゃて。更には、たったの1人も居らん時代もあったのだぞ?
・・・宰相、その情報は真かの?」
さすが、歩く超巨大図書館ウィー。人間界についても知識は充分にあるようだ。「城の全ての人間が魔力が使える」という過去例を見ない事に彼はとても驚き、宰相に確認を取った。
宰相は、ウィーの不信に嫌な顔をしなかった。素直に見れば、逆に不信を持って当たり前という顔で。穿ってみれば、してやったりの顔をし、うなずいた。

「疑問を持つのは最もです。ですが、ロメリアに探らせましたからね。彼がだまされていない限り、すべて事実ですよ。あの彼が、陛下を裏切ることはありませんからねぇ。」
「ちょっと!!ちょっと待って!!『ロメリア』ってあの『ロメリア』のこと?!あの色情魔のことなのっ!?
なんであんなヤツなんかを使ったのよ!!信じらんないわっ!!!」
宰相のことばに納得したのはリリー以外の全員。彼女だけは、憤怒の形相で怒鳴り散らした。
今まで穏やかだった表情、おしとやかだった態度が一変し、美しい顔を阿修羅に変えていた。彼女はロメリアなる魔物がとても嫌いらしい。

「色情魔でだらしがない、というのは誰もが賛成しますが、彼は隠密としては、とても優秀ですよ。自分の特性、能力を最大限に使って情報収集を行っています。ですから今後も彼に協力をしてもらう予定でいます。
私情で動くのは食事の時だけです。それ以外は、魔王陛下に属する者として節度ある行動をしていると思いますがねぇ。そして、その魔王陛下に対する忠誠心は不屈のものですし。まぁ、まだまだ私には及びませんが!
あなたと同じように陛下を愛する者、陛下命の者ですのに・・・。」
宰相はリリーを納得させるように締めくくったが、逆に火に油を注いでしまった形になってしまった。つまり、大激怒。彼女は妖気を大噴出しながら叫んでいた。
「ヤツの食事内容が気に入らない!」「ゲテモノ喰い」「それなのに陛下命って」「とにかくいけ好かない」等など。清廉なリリーにはゲテモノ好みのロメリアを受け付けられず、更にそんな男が私の愛する陛下を同じように愛しているなんて、と言ったところか。
そんな彼女の妖気はとんでもなく恐ろしかったのか、会議室半径5kmは魔物の気配が一瞬にして消えてしまった。中には妖気にあてられて気絶してしまった魔物もいると思われる。・・・なんともまあ、負の相乗効果は恐ろしいものだ。

彼女の暴走を止めたのは、魔王陛下。たった一言「リリー、煩い。」と言っただけで、彼女はピタリと怒気・妖気を納めた。
ちなみにこの一言は、会議開始の一声以後まったく発言しなかった魔王の長時間ぶりの一言であった。

 

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