静かになったリリーに此れ幸いと、宰相はもう一言付け加えた。
「最後に1つ。余り重要なことではないと思われますが、彼の言葉全てを報告する義務がありますので、一応報告しておきます。
彼は、城の報告をした後やけに真顔で『何か臭う。』と独り言のようにつぶやきました。詳しく何が、とは言わなかったので詳細は分かりませんが。」
「どうせ、『こんなに魔導師がいるのはあやしい』程度でしょ。やつの些細な言葉に気を使う必要なんてないわ!」
やはり、否定的に発言をするリリー。魔王陛下に注意されて幾分冷静だと思われるが、やはり気に乱れが感じられる。
「そうか。それでロメリアの密偵報告は終わりだね。他に何か発言がある者はいるか?いないなら一端食事休憩にしよう。」
そう言って魔王は、本の虫を携え退室した。残された一同はリリーを気にした。が、目を合わせてしまうと巻き込まれると瞬時に理解し、知らぬ存ぜぬを貫いて各自食事をしに部屋を出た。
豪奢な会議室には硬く目を瞑り、気を静めようと努力をしている美しくも、恐ろしい花の妖精だけが残った。
2時間後。「勇者会議」 第2幕開始。
「という訳で。よろしいですか、皆さん。ここで問題なのは、魔導師の存在です。先読みの力がある者や結界が張れる者と、数が多い上に種類も豊富。
対する反乱軍は、賢者が居るといっても、所詮ただの人間の集まりであり対処のしようがなく王は倒せない。即ち、『扉』問題も解決されない、となるのは分かりきったことです。
ですので、私達が微力ながら手助けをすることが一番簡単かつ功利的な方法なのです。」
「『扉』が関わってなきゃ、んなもん放っとくんだけどなー。」
「『扉』じゃしのぉ。」
「・・・魔族が力を貸すのは分かったわ。じゃあ、一体誰が人間界に赴くの?私達誰かの部下かしら。それとも私達?」
会議参加者皆が人間に力を貸すことに賛成した。リリーも異存は無いようだった。2時間前の不機嫌さを若干含ませつつではあったが・・・。
「私だ。」
淡々とだが、これからの冒険に期待を寄せていると一目で分かってしまう瞳で魔王は名乗り出た。
「それから、連絡係に私もお供いたします。」
続けて宰相。
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リリーが怒りで豹変してしまう。
第一章 - 8