「異世界トリップは主人公にとって本当に理不尽だ!!!!!!!!!」
"マジで"じゃなく、"本当に"って言ってるところがポイントだ!
神様また驚いてる。んで、不安顔だ。
そりゃ、そうだろな。いきなり大声上げるし、意味不明なこと言い出すし。
それに、その内容が異世界トリップに対する不満だし。させる側としては不安にもなるわな。
不安顔でも、美しいな!やっぱりか!!
ファンタジー小説をよく読むと言った俺。もちろん、異世界トリップ話も多々読んでる。
それらを読んで思ったことが上の感想だ。
主人公は、自分には何ら得にもならない使命を負わされ。んで、危険極まりない、下手すりゃ命懸けの頼みごとばかり。
話としてはおもしろいさ。でも。でもな、主人公の立場で考えてもみろ!
・・・つらい。本当につらい。いやぁ、主人公たちはすごいよ。尊敬するよ!
それに、地球に帰るシーンもなく終わってるパターンもあるし。てか多いのか・・・?
それなら地球での人生も台無しにされたってことになるじゃん。
等など。こういったことを神様にクドクド論じた。
それこそ、俺の勢いに若干引き気味だった位だ。でも、俺も譲れなかったんだ。ごめん、神様。熱くなりすぎたな。
『うん。確かにそうだよね。
ごめん。自分たちのことばかり考えて、信太のことまで気が回らなかったよ。
それから、言いにくいんだけど・・・・。地球には帰してあげられないんだ。
さっき、私の力を与えるっていったでしょう。それによって、信太は変化してしまう。
一度加工してしまった宝石は、元の原石に戻せないように。信太も元の人間に戻れない。
地球に帰ったとしても、周りに多大な影響を与えてしまうから・・・。
本当に自分たちのことばかりだね。ごめんなさい。』
ほぉら、やっぱりそんな設定じゃん。
しかも、地球に帰れないだけじゃなく、非人間になるって要素も追加かよ。
『だから、信太。どんな報酬を君にあげようか。
今あげてもいいし、リヒウェルトを救ったあとでもいいし。』
そうだな・・・・。もし俺だったら・・・・・。
「お願いを10コ叶えてってなお願いにする。
基本願い事って3コじゃん?でも、それだと少ないから。地球人生台無しになるんだ。これくらい安いもんだろ?」
10コも少ない方なのか?でも、あまり多すぎても持て余すだけだしな。
どーせ、貧乏性だよ。
『10コは少ないんじゃないかな。まあ、いいよ。世界を救ってくれるんだ。いくらでも。
それで、具体的な願い事、今何かあるのかな。』
やっぱり少ないか。それより願い事だ・・・。
んあ――――――――、あっ!
「1コ目。地球での痕跡を消すこと!たとえば持ち物とか写真とか戸籍とかの物から、記憶まで。
帰る場所があるのと無いのとじゃ、気持ちの持ちようが結構違うんじゃね?
それに、人は誰しも恥ずかしいモノをもっている。それを抹消するために・・・・。
行方不明者扱いになって、持ち物とか調べられた時にそんなん見られたら、マジやるせないだろ。
知り合いに悲しい思いをさせるのもツライし。人の記憶をいじるって行為はかなり嫌いだけど・・・。ダキョーだな。
他には・・・・何だろ。自分で出来ない願い事。神がかったもの?
自分で出来るだろーことを願ってもなぁ。・・・う゛――――――、思いつかねぇな。残りは宿題ってことでOK?」
『うん、もちろん。決まったら私を呼べば大丈夫だから。』
いやいや、"呼べば大丈夫"って言えるほど、そう簡単に同じ夢は見れんだろ。
神様設定だから、こんなこと言うのか?・・・うん、そういうことにしとこ。
『じゃあ、これで一応話し終わったよ。信太は他に聞きたいことはないかな。』
神様はそう言ってお茶を一気に飲み終えた。"何かないか"って聞いといて、もぅ終わらせる気満々じゃねーかよ。
そう思いつつ首を振った。別に気になることもないし。夢だし。
『そう。それじゃあ、リヒウェルトに移動させようか。私の手を握ってもらえるかな。』
結局最後まで、異世界トリップ設定でいくんだな。
でも、なんで移動方法が"手を握る"なんだ?神様なら、指をチョチョイと振るだけでよさげなのにな。
今日の夢は、色々とツッコミ所満載なものだったな。
そんなことを考えながら神様の手を握った瞬間、意識が遠のき。
目が覚めると・・・・・・・自分の・・部・・・・・屋・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・森の中!!!???
へっ?はぁっ???あれって夢だったんじゃねぇの?現実?・・・いや・・・・・でも・・・・・・・・・・・えぇぇぇぇえええ!!??